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クツナ先生のカウンセリング日記

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2006年06月
「海の見えるキャンプ」

素敵な名前のキャンプを、私たち親子はとても楽しみにしていました。

少しずつ少しずつ

着実に進んでいく準備を目にしながら、心待ちにしていました。

子どもたちの心に向けて、

沓名先生がどれほど力を注いでくださっているか、改めて感じる日々でした。

「この夏一番?」

かと思えるほどのピッカピカの太陽の下、16人の子どもが集いました。

知らない人が多い出会いの初めは、

ちょっと緊張気味で笑顔もぎこちなかったけど、

ペアのお兄さんお姉さんや多勢のスタッフの方たちの存在が、

「どんなことがあってもひとりじゃないぞ!!」

って感じの雰囲気をつくり出してくれており、

このことが親にとっては本当に嬉しかったです。

心細さいっぱいでは、思いっきり楽しむことは難しいと思うので……。





時計のない暮らし。

お水を大切に思う暮らし。

子どもたちには大変なのかなと思ったのは親の見当違いで、

そういう生活を子どもたちは大人よりも簡単にやってのけました。

先生のお話を真剣に受けとめていた

子どもたちの気持ちと子どもの力を感じました。

安心感のなかでやがてみんな伸びやかに、活発に大胆になっていき、

海・グラウンド・室内で知らなかった子どうし、

大声で遊んでいたのが印象的で微笑ましかった。
私たちの自宅をセンターとして、個別対応をしています。


突然、対話中の少年がクッと笑い始めました。


「今、テレビでおもしろいことを言いました。」


と、にこにこしながら話します。

しかしそのとき、私の家ではテレビをつけていませんでした。

聞くと、隣の家のテレビの音だと言います。

ガラス戸から庭をはさみ、15メートルも先のテレビの音です。

こちらの部屋にはストーブがついていて、その音も聞こえていますが、


「近くの音は聞き取れないけど、遠くの音はよく聞こえるよ」と言うのです。


低い音が好きな少年は、車の中の音楽を最大音量にしてそれを求めました。


運転するお母さんはたまりかねて、そのことを訴え、



その後、彼にはイヤホンで楽しんでもらっています。





雨の音、雷の音、時計の音……好きな子も嫌いな子もいます。


.

中学2年生の男子がフリースクールに来た初日。

午後みんなで車に乗って緑ヶ浜公園に行きました。

その日はとても素直に車に乗ることができたのです。

しかし次に来校した時のことでした。

午後いつものように緑ヶ浜公園に行こうとしたら車に乗ることができず、

一部屋開けたままスタッフと彼を残すことになってしまいました。

当時、フリースクールは自宅で行っていました。

なぜ彼は車に乗れなくなってしまったのでしょうか?

車も公園もメンバーも全て同じなのに・・・。



答えは一つ。



彼が先に乗ったか、最後に乗ったかの違いでした。




集団ができたところには入れなかったのです。

その日まで1年間、彼は食事をみんなと一緒にすることがありませんでした。

別の部屋でスタッフの女性とだけ食べることができる子でした。

・・・彼は小学校2年生の頃、ひどいいじめに会い、
 それから同年代の子どもたちの中になかなか入れなかった面もありました・・・



1年後。




フリースクールを移転しました。

同時に彼はみんなの中で食事をすることもできるようになりました。




彼は今年、高等学校を卒業しました。



.

1本の電話がありました。




「先生、今、息子を追い出しました。もうあんな奴は知らん」

夜の道を、彼の家近くを探しました。

よたよた歩いていました。

ワイシャツは血だらけです。

裸足で右足を引きずっています。

興奮してはいましたが、車に乗せて私の家に連れてきました。



夜の11時です。



ふとんを敷き、傷の手当てをして寝かせました。

しかし、今父親と殴り合いをしたにしては傷が違います。

私は翌日病院に連れて行きました。

診療室に入ったとたん看獲婦さんにお母さんと間違えられて


「お母さん、なぜすぐ連れて来なかったのですか。次の日に来るように指示が出ていたでしょ」


確かに傷は古い。

3日前バイクで転倒。

救急車で運びこまれたそうです。


でも、そんな事故、多くの事故を重ねてる彼にはたいしたことはないのだそうです。


しかし、腕の傷はえぐれ、足の傷も骨まであと少しです。

今回の事件もその事故をめぐり、父子の争いになったことがわかりました。

病院に行かなかったのも、親にはもう頼りたくないという彼の気持ちからでした。



彼は18歳、ひとり暮らしを勧めました。



アパートに移ってからも何かあると彼は私を訪ねて来ました。

仕事は自分で見つけました。

立派に働いています。

ときどき実家には米をもらいに寄るそうです。
自分の一番大切なものはなんですか?

お金ですか!?

時間ですか!?

恋人ですか!?

家族ですか!?  それとも・・・・。



今、みなさんの頭に思い浮かんだものはどれも大切なものです。



生きていくためには、

お金は必要です。

時間も必要です。

愛する恋人・家族も必要です。






では、みなさんのその一番大切なものを誰かに与えることはできますか?

どれだけたくさん与えることができますか?



もし、みなさんが自分の持っているものを誰かに与えることができるのなら、

それは、わずかな量であってもすばらしいことです。



ただ、時間やお金、ものを与えることは私じゃなくてもできることです。


心をつかうこと、


それは私たちひとりひとりにしかできません。

心を使うことができる人が集まり、

心を使うことができる人を育てる、

それが、私たちの仕事だと思い毎日子どもたちと接しています。




『愛とは自分の一番大切なを相手に与えることです。』



.

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Profile
kutsuna
所在地 愛知県
「りんごは青い」と言った子どもに、教師が「りんごは赤いものだ」と正した話を聞きました。感じ方は一人ひとり違ってあたりまえですし、実際、青いりんごもあるのです。
 普通とは何でしょうか?人と違うとは何を意味するのでしょうか?その子は翌日から学校へ行かなくなりました。一般的であれば、誰にも理解されやすく社会の中では生きやすい、そういうことかもしれません。しかし、形にはめて強いるものではないのです。みんなと違ったものを排除する。そんな傾向が多く見られるような気がします。
 排除されたこの中には、案外個性を伸ばして大成する子もいるかもしれません。しかし、生き方を身につけていない未熟な魂は、方向を失ってさまよいます。
 そんな子どもたちを「放ってはおけない。救わなくては。」と、校内で暴力をふるったひとりの問題児を引き受けたのがきっかけで、ついに自宅を開放して、フリースクールを始めました。

 今までに関わってきた子どもたちはこの5年間で、530人を超えました。「死にたい」と言い続けてリストカットを繰り返す少女や、「誕生日に自殺する」と宣言する少年など。悩む原因が何なのか分からないこともあります。
 しかし、そんな彼ら、彼女たちにも、たった一人の、たった一人の一緒に悩み、考えてくれる人が居れば、安心して眠ることができるのです。
 私たちはそんな子どもたちを「家族」として迎え入れ共に悩み、共に考えながら活動を続けています。
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